「バンドは最高だった、リアムとの絆も」 ー映画『oasis: supersonic』

今年にはいってなんと3回も見た映画!『oasis: supersonic』。


あの世界的な兄弟バンド oasisのデビューから頂点にのぼりつめるまでの3年間の軌跡を描いたドキュメンタリーです。

oasisについては、ベストアルバムを聞いて名曲だしかっこいいなぁと思ったり、何年か前のサマソニでリアムを見て「兄と弟どっちだっけ?」と聞くほどのニワカでした。(兄がノエルで弟がリアムです)

それでも、純粋に、ロックンロールのストーリーとして、兄弟のストーリーとして、とてもひきこまれてしまいました。
そして、映画館で聞くoasisの名曲は、やはりかっこよかった!

過去のライブ映像やプライベート映像や新聞に、本人やお母さん、スタッフたちが当時を振り返るナレーションがコラージュのように重なる構成。
最頻出ワードはf**kingとdrug。笑

よく兄弟喧嘩をしているイメージはあったけれど。
その兄弟喧嘩はレコーディングスタジオの機材破壊するレベルだったり、乱闘騒ぎで逮捕されたり、失踪したり、メンバーもスタッフも覚醒剤漬けでライブ台無しになったり、そうじゃなくてもリアムはライブで歌わなかったり。
ほぼ全編、破天荒エピソード! 随所に「ロックンローラーだから当たり前だ」というリアムの説明付き。笑

ただその狭間に見える、oasisの音楽が生まれた瞬間と、広がる世界の熱狂、そして、その根底に流れる兄弟の深い繋がりに、魅了されてしまうのです。

「自分の曲が、oasisでやることでまったく違うものに変わって、それがまた自分にかえってきた」
まだバンドに加入する前、はじめて自分が作曲していた曲をオアシスでやってみたときのことを思い出す、ノエルのナレーション。
部屋で1人で作曲していたノエルを、リアムがひっぱりだして、オアシスが生まれた瞬間に、ぞくぞくします。

「俺も含め、メンバーはみんな全然完璧じゃないんだけど、oasisになると、最高のものが生まれるんだ」
ノエルは、こんなふうにも言っていました。
天才ソングライターとも言われ、プロデュースも担い、シンガーでもある彼からでるこの言葉には、バンドというもののロマンが詰まっている気がします。

「クソみたいななチャートを、俺たちが変えてやる!」
というデビュー当初の言葉のあとに続く、圧巻の名曲のライブ映像の連続には、抜群の説得力があります。


そんなロックンロールのドキュメンタリーとしての側面に加えて、やはりもう一つの見どころは、すべてのベースにあるノエルとリアム兄弟の関係性。

印象的だったのは、驚異的な速さのレコーディング。
ノエルが曲を弾いて、それを聞いたリアムが歌詞を見ながら歌ってみて、ノエルはそれを一度聞いたら他の部屋にサッカーの試合を見に行く。リアムはそのまま1人でレコーディング。
それであの名盤ができてしまうとは。(たしか"(What's the Glory) Morning Glory"のときの話) 

「バンドは最高だった。リアムとの絆も」
「ステージ上でリアムと目が合う。それで俺たちは音楽以上のものでつながる」
兄弟だからこその説明のいらないものが、あったんだなぁと。

喧嘩ばかりで破天荒な人たちなのに、あの優しいメロディが生まれる理由を垣間見た気がします。
そして、意外とノエルがリアムをほめたり、仲良しなプライベート映像もあったりします。 
 
「リアムは、顔はいいし、立ち方もファッションもいいし、歌もいい。作曲だけが俺にできて、あいつにできないことだ」
「あいつのパーカーの着こなしを羨ましく思わなかったことはない」
とも。笑

だいたいロックンロールとかドラッグとか、噛み付くようなことしか言わないリアムも、
最後まで見ると本能的に本質を掴んでいる人なんだなぁと感じます。
前半はただただ、「お兄さん大変でしたね」という感想を持ってしまうのですが笑、ステージでの圧倒的な存在感とともに語られる言葉は、シンプルで重みがあります。

「それ以上が望めなくたって、好きなものは続けるべきなんだよ」

25万人ライブの熱狂の映像にリアムの言葉が重ねられ、壮大な"the Master Plan"とともにエンドロール。
その後解散する彼らを知っているだけに、せつない気持ちになり泣いてしまいました。

生き様そのものが、ロックンロールすぎる兄弟。

序盤に練習中にふざけて、聖書にでてくる仲違いする兄弟カインとアベルの話をする場面があるのですが、たしかに時代が時代だったら、教典のネタになりそうな圧巻のストーリーでした。(リアムは、自分たちをカインとアベルに例えた曲も書いています)

この映画を、ノエルとリアムが自らプロデュースしていることに、再結成を少し期待してしまいます。

そうそう、描かれた3年間、彼らがだいたいドラッグ漬けだったことも、興味深いところ。
大きな弊害はあれど、そういう状態のなかで生まれるすごいものや熱狂ってあるということなのかなぁ。

「インターネットが普及する前の世界の最後のロックンロール」
というノエル言葉も印象的。

などなど、いろいろ語りたくなるいい映画でした。笑

ライブ映像については、ネブワーズの25万人ライブはもちろん、ノエルもとてもエモーショナルだったと言っていた、彼らのルーツ、アイルランドでの"Don't look back in anger"は、心震えました!

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