(前回書ききれなかったライブの感想です)
楽しいことも、苦しいこともたくさんあった。
でも、みんなの今日の笑顔に会うためにこの長い道のりがあったんなら、悪くない道のりだったなと思います。
2日間にわたるライブで、昔と比べるとだいぶはきはきとした調子で語ったhyde。
(一緒に行った友人は、「こんなにhydeさんが言ってること、はっきり聴き取れたのはじめて!」と言っていた。笑)
そのあとに演奏された最後の曲が、「瞳の住人」でした。
数え切れない でも少しの歳月は流れ
いったい君の事をどれくらい分かってるのかな?
指先で地図辿るようには上手く行かないね
気づいているよ不安そうな顔 隠してるくらい
急ぎ足の明日へと抵抗するように
駆け回っていても不思議なくらい
この胸は君を描くよ
見上げれば輝きは色褪せず溢れていた
どんな時も照らしてる あの太陽のようになれたなら
10年以上前から大好きで、聴いてきた曲。
今回不思議だったのが、その歌詞がまったく違うものに感じられたこと。
ラルクが歩んできた道程、
大きくなったがゆえのしがらみで思うように進めない歯がゆさ、
それでも、曲のなかだけでは本当のこと言おうとしているような。
苦しい道を乗り越えて、いろんな人の夢や思い出を吸い込んで、音楽に昇華したバンドは、自分たちの野望とかそういうものを超えて、悟りのような境地なのかもしれません。
いつの日か鮮やかな季節へと連れ出せたら
雪のように空に咲く花のもとへ 花のもとへ
ラルクの定番演出、落ちてくる羽の下で演奏されたこの最後のフレーズは圧巻の美しさでした。
この人たちは花のもとに連れていってくれるんだろうなぁという謎の確信を持たされる光景で、1日目1曲目の「虹」よりもさらにぼろぼろ泣いていました。
一神教的な宗教を信仰するって、こんなかんじかもなぁとか考えながら。笑
そのぐらい、全幅の信頼で演奏に身を任せたくなる音と空気があったのです。
もしかしたら今回セットリストを組んだhydeの思いが、この曲にのっているように感じたというのもあるかもしれません。
ライブあとにちょうど読んだ本で、
活動を休止して再開したモンスター・バンドは、自分たちの過去の名曲を演奏する最高のトリュビュート・バンドになることが多い。
彼らは最高のパフォーマンスをするが、過去のように火花の散る化学反応が生まれることはない。
というようなことが書いてありました。
「もう化学反応は生まれない」とは言わない(言いたくない)けれど、今回のライブは、最高のトリュビュート・バンドとしてのパフォーマンスだったなと思います。
ただそれが悲しいという気持ちはあまりなくて、むしろ新しい曲がなくたって、表現力を深めて素晴らしいものを見せてもらうことができるんだという発見をしたような気持ちです。
一瞬で知らない時代の異国に連れていかれた「真実と幻想と」「forbidden lover」「Shout at the Devil」、
ホラー映画の世界にひきずりこまれた「花葬」「侵食」、
これ以上ないくらい透明だった「NEO UNIVERSE」……
眉毛がなかった(久々に全剃りしていた)のもあってか、特にhydeの見せる世界観には圧倒されるものがありました。
漫画みたいに、歌っているうしろに絵が見えるような感覚。
へんな飛ぶ車とかコロコロコミックみたいな炎とか。そんなスクリーンのダサい演出(私だけの主観ではなくて、けっこう話題になったのです。笑)を吹き飛ばしていました。
この人と同じ時代に生まれてよかった、と久々にあらためて思ったなぁ。
自分は何に感動したんだっけと書きはじめたブログ。
2記事書いて、結局ほぼ1日目の1曲目と2日目の最後の曲だけ、最初と最後の話ばかりすることになりました。笑
でも、それって、すごくいいライブだったということなのではないかと、思うのです。
そして、「瞳の住人」のような歯がゆさを、彼らがまだ感じているのなら。
やっぱりトリュビュート・バンドとしてではなくて、現役の化学反応を起こすバンドとして走るラルクをまた見たい、と願わずにはいられません。
(……と書いていたら、ちょうど今日、東スポに解散報道でたんですね! どうなることやら。)
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L'Arc-en-Ciel「25th L'Anniversary LIVE」2017年4月9日 (2日目) 東京ドーム セットリスト
01. 虹
02. Caress of Venus
03. the Fourth Avenue Cafe
04. Vivid Colors
05. Lies and Truth
06. 真実と幻想と
07. forbidden lover
08. Shout at the Devil
09. REVELATION
10. 風の行方
11. X X X
12. 花葬
13. 浸食 -lose control-
14. HONEY
15. MY HEART DRAWS A DREAM
16. NEO UNIVERSE
17. STAY AWAY
18. Driver's High
19. READY STEADY GO
20. Don't be Afraid
21. Blurry Eyes
22. Link
23. 瞳の住人
土地と人と音楽あたり
日々心に刺さった、いろいろについて。
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